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賃料増減額請求と確認の利益 [民事訴訟法]

 形成権である賃料増減額請求権が行使されると客観的に「相当」な賃料にまで増額あるいは減額がなされるが、当事者間において「相当」額についての認識が共通にならない場合には、賃料額確認と差額精算を求める訴訟(以下、賃料額確認訴訟という)が提起されることになる。
 しかし、この賃料額確認訴訟に確認の利益を認めることが出来るのはなぜだろうか。
 賃料増減額請求権が行使された時点での賃料額の確認を求めるものであるから、過去の権利関係の確認を求めるものであり、かつ、その判決は紛争の抜本的解決をもたらさないのである。
 例えば、平成19年1月1日に賃料増減額請求権を行使したうえ、同日時点での賃料額の確認を求める訴えを提起し、3年後の平成22年1月1日に弁論が終結し、同年3月1日に判決がなされたとする。
 この場合、原告は、判決の直後に再び賃料増減額請求権を行使することが可能である。
 なぜなら、賃料額確認訴訟は、賃料増減額請求権を行使した時点での賃料額の確認とそこから弁論終結時までの賃料の差額精算をおこなうだけであり、弁論終結時の「相当」賃料額を確認するわけではないからである。
 上記の例でいえば、最初の賃料増減額請求権行使から既に3年経過し、地価等が上昇(あるいは下落)していることを理由として再度の賃料増減額請求権を行使することが可能である。
 判決直後の賃料増減額請求を抑止することが出来ず、紛争は継続することになる。
 それにも関わらず確認の利益があるとするのは、おそらく、弁論終結時までの賃料の差額精算を命じることで、一時的ではあるにせよ、当事者間の関係を公平な位置に戻すからであろう。

 もともとそのような制度だと言ってしまえばそれまでであるが、紛争解決の制度としてはいささか問題があるように思われる。
 立法論かもしれないが、形成訴訟としての賃料増減額訴訟を認めることはできないだろうか。


あけましておめでとうございます。

今年もよろしく御願い致します。
当事務所の営業開始は1月9日(火)です。


レモンライス

学生時代なつかしの味「レモンライス」(インド料理でいうレモンライスとは全く別もの)に挑戦してみました。
グリーンピースとしいたけを具にしてバターで御飯を炒め(要するにバターライスですな)、レモンを振りかけて食べてみましたが、「違う」。これは「レモンライス」じゃない。。。。
チャーハンにレモンがかかっているだけ。
何しろ最後に食べたのが5年以上前なので味の記憶も曖昧。
今度、本物を食べて再挑戦の予定です。

本物を食べたい方は、大阪市立大学周辺をうろうろしている学生を捕まえて「夏爐(かろ)ってどこですか」と聞いて、連れて行ってもらってください。(場所を聞いただけでは分かりません。たぶん)

食べに行けないけど気になる人は「レモンライス」でググってみてください。いくつか情報が出てきます。


不動産譲渡担保と差押債権者

最高裁平成18年10月20日
「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差押え、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることは出来ないと解するの相当である。」

 この問題に関する学説は、民法94条2項類推適用を唱えるものが比較的有力だったが、最高裁は、差押えが被担保債権の弁済期の前か後かで区別し、後者の場合には譲渡担保権者の処分権能を理由に差押債権者を保護する考え方を表明した。
 所有権構成と担保的構成ということでいえば所有権構成に親和的結論ということになろうが、最高裁はあえてそこを明らかにしようとしていないようにも見受けられる。
 
 差押えが被担保債権の弁済期の後でなされたが、設定者と譲渡担保権者が弁済期を変更した場合(つまり、弁済期を差押えの後にずらした場合)、設定者はなお受戻権を行使し、あるいは第三者異議の訴えを提起することが出来るだろうか。
 資金調達の目処が立っているが弁済期には間に合わず、また、譲渡担保権者としても会計処理の便宜からなるべく遅延損害金が発生しないようにしたいという場合があり、そのような事情がある場合に弁済期が変更されることはありうることだと思われる。
 他方、この場合でもなお設定者が保護されるとすると差押債権者の立場は不安定なものとなる。
 不動産を差し押さえられたからといって、譲渡担保権者が被担保債権の処分権まで失うわけではないから、理論上は受け戻しが可能であるということになると思われるが、何かしらの制限が必要であると感じられる。


「毎日かあさん」西原理恵子 [書評]

 幼い頃、近所の用水路でヤゴを何十匹と取ってきて水槽で育て、夏にトンボになって飛んでいくのを毎日、毎日見ていたことがある。
 道路に這いつくばって用水路の低い橋の下を覗いて大きなウシガエルを探し、水から目だけ出しているところを網でひっかけて橋の外に引きずりだしたときは本当にうれしくて今でもそのときの情景を鮮明に覚えている。
 その用水路の向こう側に初めてジャンプ出来たとき、人生に勝利したと思った。
 タンツボ(肥だめ)に潜むと噂される大蛇を見ようとした友人が、そのタンツボに落ちたとき、大蛇に食われてしまうのではないかと心底恐怖した。

 大人から見ればアホなことでも、子供にとっては本当に大事なことだ。
 そんなことを思い出させてくれる西原理恵子さんの「毎日かあさん」。
 未読の人は是非読むべし。
 


他の視点

 昨日から泊まりがけの名古屋出張だった。
 一緒に仕事をした税理士さんに仕事のヒントをもらい、感謝。
 同じ会社を見るときでも、弁護士の見方と税理士の見方は違う。どちらかが正解ということではなく視点が違うということであり、常に他の視点を意識していないと思わぬ失敗をする。
 謙虚に他の専門家の意見を聞くようにしている。


ホームページ

事務所のHPをリニューアルしました。
http://www.motoioffice.com/


相殺の抗弁と二重起訴 [民事訴訟法]

平成18年04月14日最高裁判決

本件判例は、本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし、本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張するのは二重起訴禁止に抵触しないとして、次のように述べる。
「この場合においては、反訴原告において異なる意思表示をしない限り、反訴は、反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分については反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更されることになるものと解するのが相当」である。

結論に異論はないが、あまりに技巧的な説明と感じるのは私だけであろうか。
本訴と反訴は同一の手続で判断されるために矛盾した判断が生じる虞がない、というのが実質的な理由のはずであり、率直にそれだけを述べれば良かったはずである。


取締役等の任期 [会社法]

いよいよ5月1日から新会社法が施行されます。
新会社法では、非公開会社(株式譲渡制限のある会社)について、定款の定めにより、取締役及び監査役の任期を選任後10年まで延長することが出来るようになりました。
中小企業ではオーナー社長が2年で交代することなど殆どないにも関わらず、これまでは商法の規定に従って2年毎に重任登記をしなければなりませんでしたが、今後は定款変更さえすれば、10年間はその必要がないことになりました。


取締役の員数 [会社法]

 新会社法(本年5月1日施行)により、公開会社でない会社で、且つ、大会社でない会社は、取締役の員数が1名で足りることになりました。
 これまで3名の取締役を確保するために代表者の配偶者や親などを名目だけ取締役として登記しておく事例が数多くありましたが、そのような必要がなくなったことになります。
 数合わせのためだけに名目だけの取締役が登記されている会社は、これを機会に退任登記を検討すべきです。
 取締役を1名とした場合には、日常業務に関する意思決定と執行を当該取締役が行い、重要事項については株主総会に委ねられることになります。
 譲渡制限株式の譲渡承認など、これまで取締役会に委ねられていた事項も株主総会決議が必要となりますが、取締役会を設置しない会社の株主総会については手続が簡略化がされています。


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