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不動産譲渡担保と差押債権者

最高裁平成18年10月20日
「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差押え、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることは出来ないと解するの相当である。」

 この問題に関する学説は、民法94条2項類推適用を唱えるものが比較的有力だったが、最高裁は、差押えが被担保債権の弁済期の前か後かで区別し、後者の場合には譲渡担保権者の処分権能を理由に差押債権者を保護する考え方を表明した。
 所有権構成と担保的構成ということでいえば所有権構成に親和的結論ということになろうが、最高裁はあえてそこを明らかにしようとしていないようにも見受けられる。
 
 差押えが被担保債権の弁済期の後でなされたが、設定者と譲渡担保権者が弁済期を変更した場合(つまり、弁済期を差押えの後にずらした場合)、設定者はなお受戻権を行使し、あるいは第三者異議の訴えを提起することが出来るだろうか。
 資金調達の目処が立っているが弁済期には間に合わず、また、譲渡担保権者としても会計処理の便宜からなるべく遅延損害金が発生しないようにしたいという場合があり、そのような事情がある場合に弁済期が変更されることはありうることだと思われる。
 他方、この場合でもなお設定者が保護されるとすると差押債権者の立場は不安定なものとなる。
 不動産を差し押さえられたからといって、譲渡担保権者が被担保債権の処分権まで失うわけではないから、理論上は受け戻しが可能であるということになると思われるが、何かしらの制限が必要であると感じられる。


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