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「正当事由」の証明責任 [民事訴訟法]

 借地借家法の「正当事由」の証明責任は常にその存在を主張する賃貸人にあるのであって、「根拠となる事実の証明責任は正当事由の存在を主張する者に、障害となる事実の証明責任は正当事由の存在を争う者に分配される」と考えるのは誤りである。
 「正当事由」の存在を判断するためには、当事者双方の事情を確定して総合的に判断する必要があるが、当事者双方の事情を残らず確定しなければ判断出来ないということではない。正当事由の根拠となる事実A、B、Cと障害となる事実D、Eがある場合、たとえ障害事実D、Eの存在が認定されたとしても根拠事実Aだけで「正当事由」が認められる場合が想定出来る。
 この場合、根拠事実B、Cについて真偽不明は問題とならず、障害事実D,Eの認定は「正当事由」を要件とする法規の不適用を招来しない。
 ここで誤りの原因となっているのは、「正当事由」という観念的な法律要件ではなく「正当事由」を基礎づける具体的事実について証明責任を分配しようとすることである。

 参考文献:松本博之「証明責任の分配」
 


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