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採用内定の法的性質 [労働法]

 採用内定は「効力発生の始期を採用通知に明示された日とする労働契約の成立」(最判昭和55年5月30日)である。
 それゆえ、効力発生前の内定期間中には就労義務がなく、業務命令として研修を強制することはできない。(東京地裁平成17年1月28日)また、就業規則の適用もない。但し、「効力発生の始期」ではなく、「就労の始期」と考える場合には、就業規則のうち就労を前提にしない部分の適用はありうることになる。(学説上争いあるが、適用肯定説が有力か)
 また、効力発生前は、使用者側に解約権が留保されているものと考えられるが、それは無制限なものではなく、「採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる。」(最判昭和54年7月20日)
 形式的には、採用内定通知書あるいは誓約書に記載されている採用内定取消事由が生じた場合や学生が卒業できなかった場合、ということになるが、上記判例による制限があり、記載されている採用内定取消事由に該当するように思われる場合でも、その内容程度が重大なもので従業員としての不適格性が判明するものでなければならない。
 解約権行使(内定取消)について解雇予告は不要である。理由は法21条との均衡。

 参考文献:NBL820号47頁以下  菅野「労働法」7版123頁以下


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